観光スポット周辺情報
- Sightseeing -

抱返り渓谷

2020.09.26    観光スポット周辺情報

山と滝にいだかれて

 角館の城下町から北東方向、田沢湖の南方に位置する「抱返り渓谷」は、一級河川・雄物川の支流である玉川の中流に続く渓谷であり、その全長は約十キロにも及ぶ。県立自然公園にも指定されているこの景勝地では、エメラルドグリーンの渓流や四季折々の表情を見せる山々など雄大な自然を満喫することができる。

 また、抱返りには「一湯、六滝、三島」の見所があるとされており、「一湯」とは夏瀬温泉、「六滝」とは渓谷内に六本ある勇壮な滝、 「三島」とは清流に突出する「巫女石」「茣蓙(ござ)の石」「善知烏(うとう)の中島」の三つの奇岩をそれぞれ指している。この中でも特に圧巻なのが「六滝」の一つである「回顧(みかえり)の滝」。渓流に沿って遊歩道を三十分ほど進んだところに位置するこの滝は、約三十メートルの落差を誇り、水量も豊か。滝壺の近くまで行くことができ、涼しく澄んだ空気を感じることができる。

 「振り返ってもう一度見てみたい」と思わせる美しさから名前が付けられたという「回顧の滝」。抱返り渓谷を訪れた際は、時間に追われる忙しない日常を忘れて雄大な自然の中で「自分」をもう一度回顧してみるのもいいかもしれない。

文/秋田大学 伊藤

Information

抱返り渓谷
〒014-1113
秋田県仙北市田沢湖卒田~角館町広久内
角館駅から車で15分。神代駅から徒歩45分。

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 駐車場がありますので、そこに車を停めて徒歩になります。回顧の滝までは片道30分。滑りやすく、足場も悪いために歩きやすい格好で向かいましょう。

 一部遊歩道は雨天時や増水時に通行止めになりますので、ご注意ください。

提供元:あきじん

思い出の潟分校

2020.09.19    観光スポット周辺情報
写真潟分校01

ここに来ればこどもの頃の記憶が蘇る。

 田沢湖町立生保内小学校潟分校は、秋田県仙北市田沢湖にあった生保内小学校の分校。昭和四十九年に廃校となっていた木造の小学校校舎が修復され、平成十六年に「思い出の潟分校」として一般公開。校庭や校舎、教室の内部にいたるまですべて当時のままで残されており、懐かしい雰囲気を感じる。

写真潟分校02


 中に入ると下駄箱、そして左右に延びる長い廊下がある。左手には体育館、右手には教室と二階に続く階段が見える。大きな窓からは太陽の光が射し込み、年月とともに濃くなった木目が飴色に輝く。教室の椅子に腰を掛けると、今にも先生が廊下からやってきて授業がはじまりそうだ。隣を見れば友達の顔まで目に浮かぶ。廊下を歩けば、そこを駆け回るこどもたち。そしてそれを注意する先生。その声までも聞こえてくる。
 「思い出の潟分校」。時の経過を忘れたこの場所だからこそ、私たちが失った大切なものが今もまだ残されている。

文/太陽印刷 二方

Information

思い出の潟分校
〒014-1203 秋田県仙北市田沢湖潟字一ノ渡226
☎0187-43-0766
■定休日:火曜日
■営業時間:9時~16時

Access Map

JR田沢湖駅より羽後交通バス「田沢湖一周線」を利用、上田子ノ木にて下車、徒歩15分。
JR田沢湖駅より車で約20分。校庭に駐車可能。
学校の中には薪ストーブや、オルガンなど懐かしい品々もたくさんあります。教室の中に入れば、あの頃の自分に戻ったような気分になります。
また、5月の下旬の土日には「クラフト市」が開催されています。陶器や服など、各作家が手作りした品々が並びます。

提供元:あきじん

フルーツパーラーさかいや

2020.09.12    観光スポット周辺情報

武家屋敷風八百屋さん?

 角館駅を出て少し歩くと他の景色と比べて一足早く武家の趣を感じさせる建物が見える。ひっそりと道路わきにたたずむその中はスーパーが各地に広まるまで生活を支える主流となっていた昔ながらの八百屋さん、「さかい屋」だ。多様な野菜と手書きの値札が並ぶその光景には、母に手を引かれて買い物をした幼き日が思い返された。

 そんな懐かしい雰囲気の中に小さな喫茶店のようなスペースが設けられている。甘い香りに誘われてこの席へと赴けば、八百屋から一転してフルーツパーラーのスイーツを味わうことができる。カウンター席とテーブル席がいくつか並んでおり、入れ代わり立ち代わり人が訪れていた。テーブル脇に置かれた「さかい屋ノート」にはこれまで訪れた人の喜びや感謝の言葉がつづられていた。その出身地も県内にとどまらない。

 早速メニュー表を手に取ると、写真ではなく地元のデザイナーの人が手書きで描いたかわいらしく鮮やかなイラストにその味への好奇心がそそられる。またそのボリュームはかなりよく、トッピングには意外なものも多い。どんな味なのか想像するだけで楽しく目移りしてしまった。実際に注文が届くとパフェごとに器も異なりこだわりが伺えた。スプーンを通すと思った以上にやわらかな感触。口に運べば濃厚なミルクの香りとふんわりとした食感のソフトクリーム、果実のさわやかな甘さと程よい酸味が身体にしみわたり、その幸福感にほっと息をついてしまった。トッピングの果物も新鮮で味が濃い、あっという間に食べ終わってしまった。

「憩い」の八百屋。彩りパーフェクト。

地元への想いと誇り

 ここさかい屋の店主、堺研太郎さんは角館の商工会会長も務めている。駅近くの観光スポットである西宮家が賑わっていくことに一役買った人物だ。そんな堺さんには観光地だからと言ってその商売への意気込みや訪れる人への感謝をおろそかにすべきではないという思いがあった。

 このさかい屋のフルーツパーラーは、西宮家を整えたあとでさかい屋も活気づけたい、という思いから店舗を改築して始められた。観光地にあるけれども、地元の人が気軽に立ち寄れる場所を目指したそうだ。そのため、もともと観光客向けの宣伝はしていなかったそうだが実際に訪れた人たちの口コミで広がり、今では人気のスポットになっている。堺さんは本物の価値は実際に訪れた人にしかわからず、観光地としての名産品を推すのではなく実際に食べた人が誰かに勧めたくなるようなものにしたい、観光地というブランドに頼るのではなく実際食べて満足してもらえるような工夫が必要だと強くおっしゃっていた。たとえば、このフルーツパーラーでは季節ごとに旬の果物を使ったパフェを作ったり、独自のブレンドで果汁を配合したソフトクリームを作ったりしている。その年によっておすすめも変わるため、同じ時期に訪れても同じ味が食べられることはない。訪れるたびにその瞬間でしか味わえないおいしさを堪能することができる。

 さかい屋のその仕事への誇りと地元の人への想いがそのスイーツの一番のかくし味になっている。

文/秋田大学 野中

Information

フルーツパーラー角館 さかいや
〒014-0368 秋田県仙北市角館町中菅沢92-81
☎0187-54-2367
■定休日:不定休
■営業時間:9:30~18:00(パフェ提供は9:30~)

Access Map

 角館駅から徒歩4分。
季節のフルーツをふんだんに使った贅沢パフェを提供してくれるお店です。八百屋だからこそ出せる色とりどり、種類豊かなフルーツたちは見て良し、食べて良し。
 趣のあるお店に入って左側がパフェ提供スペースになっており、子供から大人まで地元の人々に愛される憩いの場所です。
散策でたくさん歩いた自分に甘いご褒美をあげましょう!

提供元:あきじん

そばきり長助

2020.09.12    観光スポット周辺情報

武家町に建つ農家のそば屋

 角館駅から約1キロ、武家屋敷通りから西側に一本入ると、暖簾を掲げた木造建築が目に留まる。手打ちそばの店、そばきり長助だ。

 今年で創業十五年目を迎えるそばきり長助は、仙北市内で自家栽培したそばの実を自ら挽いてそばを打ち提供する「農家のそば屋」。店の入り口には「地産地消応援の店」の文字が飾られている。

 そんなそばきり長助オープンのきっかけは、栽培を始めたそばの実が思うように売れなかったからだという。当時秋田県で手打ちそばを出す店がそれほど多くはなかったからだ。「これはもう自分で店を出すしかない」との思いで始まったのが、自家栽培したそばの実で手打ちそばを作る「農家のそば屋」だったそう。そばきり長助の名前は屋号から、というのもまた、農家らしい。

 農家のそば屋の一番の強みは「鮮度」。そばはとてもシンプルな食べ物であるが故に、素材の味がそのまま料理に出る。そばきり長助では、前日の夜から当日の朝の間に挽いたそばが提供されている。その違いは、一目…いや一食瞭然。頂いた十割そばは、つなぎを使っていないということが信じられないほど粉っぽさがなく瑞々しい。口に入れると鼻にそばの香りが抜け、甘みも感じられる。これがまさに鮮度のなせる業なのだろう。

優しい笑顔の大黒柱 鈴木秀夫さん

 今回取材に対応してくださったのは店主の鈴木秀夫さん。見るだけで人の良さが伝わってくるような優しい笑顔をみて、そばきり長助で提供されるそばが美味しい理由がまたひとつ、わかったような気がした。

 ふと周囲を見渡すと、そばきり長助の店員さんは皆さん優しい笑顔を浮かべながら仕事をしているように感じた。それもそのはず、店員さんたちは店主の鈴木さんの息子さんたち。農家のそば屋は家族で営まれているのだ。

 そんな店・家族双方の大黒柱である鈴木さんだが、そばを育て始めた理由は「減反政策」だったという。もともと米農家だった鈴木さんは、減反政策によって空いた土地の利用方法を考えていた。その時、知人が南会津から持ち込んだ在来種を使った手打ちそばを食べたことにより、そばに引き込まれていったそうだ。そこで鈴木さんは、そばを少し分けてもらい、空いた土地でのそばの栽培を開始した。

 また、その十年後には、そば研究の第一人者である信州大学の氏原暉男先生との出会いをきっかけに、現在の看板商品である「赤そば」の材料、「高嶺ルビー」とも出会っている。

 米農家から数々の出会いを経て農家のそば屋へと転身した鈴木さん。現在では、「お客さんが喜んでくれることが一番のやりがい」であるとして、お客さんとの出会いも大事にしていることを教えてくれた。

 それらの出会いは偶然ではなく、鈴木さんの人柄が引き寄せたものだろうとインタビューの端々から感じることができた。農家の屋号である「長助」がそば屋の名前としてしっくりくるのもまた、単なる偶然ではないのかもしれない。

赤の衝撃 高嶺ルビー

 そばきり長助で是非食べてほしい一品が、前述した「赤そば」だ。ヒマラヤ地方原産の「高嶺ルビー」から作られるこのそばは、収穫量が少なく育てるのも難しい。なぜそのようなそばを仙北市で育てるようになったのか。

 きっかけは十年ほど前、高嶺ルビーの品種改良に携わった信州大学の氏原暉男先生の講演が仙北市で行われたことだった。その際に氏原先生からたくさんのお話を伺い、ここ、秋田県でも生産できるのではないかということで生産を始めたそうだ。もともと寒い地方で育つ高嶺ルビーは実をつける時期が遅く、花が咲いてもミツバチが飛ばずなかなか受粉できないことも。収穫量もふつうのそばに比べ半分ほどで、その希少さがうかがえる。

 そばきり長助では、種を自家採集することにより、その希少な高嶺ルビーを使った赤そばを破格の値段で提供している。そのそばは、それまでに食べたことのないものであった。味はそばなのだが、食感が讃岐うどんにも近いような独特の弾力があるのだ。

 過酷な栽培条件の中、仙北の地で実を結ぶことに成功した高嶺ルビー。そして、高嶺ルビーを育てる農家のそば屋だからこそできる、絶品の赤そば。そばきり長助を訪れた際は、是非騙されたと思ってその食感を体感してほしい。

文/秋田大学 伊藤

Information

そばきり長助
〒014-0300 秋田県仙北市角館町小人町28−5
☎0187-55-1722
■定休日:火曜日
■営業時間:11:30~16:00

Access Map

角館駅から徒歩16分。
 観光を楽しんでお腹がすいたら、腹ごしらえに行きましょう。ざるの上にこんもりと盛られたそばをずるっと一気に口の中へ。コシのきいたそばは、噛めば噛むほど風味が広がり、甘めのそばつゆがそれを引き立てます。

 散策のお供にお持ち帰りできる「そばソフト」もあります。

たかはし食堂

2020.09.05    観光スポット周辺情報
写真 たかはし食堂

ソウルフードここにあり。

  観光地グルメと言えば何を思い浮かべるだろう。行列のできる郷土料理店か、はたまた人気沸騰中のB級グルメか。観光地を歩けば様々な店の看板が私たちを手招いてくれる。しかし地域が持つ「おいしさ」はそれだけではない。今回は少し視点を変えて、地域に根差したご飯所に足を向けてみよう。
 ある夏の日、私たちが訪れたのは旧角館総合病院の隣に店を構える「たかはし食堂」だ。武家屋敷通りから少し外れており、観光客が見つけるとなると少し難しいかもしれない。しかし地元の人におすすめを訊くとみな口をそろえて「たかはし食堂のカツ丼」と言うのだから凄い。言わば角館のソウルフードか。

 暖簾をくぐると小気味いい包丁の音とカツを揚げる油の音が心地良く響く。店を見渡せばカウンター、テーブル席のみならず座敷席まで三つあり、なるほど、昼間の大盛況が目に浮かぶようだ。
カウンターに腰を下ろすと厨房を立ち回る数實さん、典子さん夫妻が見える。視界に映る手際の良さは流石の一言で、訊けば二代目店主の数實さんは小学生の頃から出前を手伝っていたというのだから納得である。私が幼いころは……と思いを馳せたところにかけられた「これから揚げるから少し待っていてね」、の声に胸が躍った。
 たかはし食堂では注文を受けてから肉に衣をつける。先を急ぐ観光客には向かないかもしれないが、待たなければ本物にはありつけないのだ。

「まごころあげる」おふくろのカツ
 卵でつつむ故郷の味

実食!

 やがて運ばれてきた輝かしいばかりのカツ丼。一口食べて目を見張った。つやつやのご飯に乗ったこだわりのカツは超肉厚で柔らかく、噛んだ途端に解けてしまう。慌ててもう一口運べば歩き回って疲れた体に幸福感が満ちる。薄くついた衣には上品な醤油出汁が沁みていて、とじ卵と一緒に頬張るとあまりの美味しさに頬が緩んだ。暑い夏の日だというのにあれよあれよと完食だ。
 見かけは王道のカツ丼。それなのになぜこんなにも一層美味しく、そして私達を満たしてくれるのだろうか。そっと厨房に立つ二人に訊いてみると、納得の答えが返ってきた。
 というのも、味噌汁に入れる椎茸からラーメンに使う麺、そしてカツ丼の主役である肉に至るまで、使う食材はすべて昔のまま地域で生産しているものにこだわっているとのことなのだ。そこには先代の味を守りたい、リピーターの町の人に変わらない美味しさを届けたいという思いが滲んで見える。また、年月をかけて築いた人とのつながりや助け合いの気持ちを大事にしたいのだと典子さんは語った。この美味しさはこれまでの歴史や町の人たちを大事に思って作っているからこそか。

お客様と垣根がない

 まだ暖簾をかけていないうちから入ってくるお客さんもいて、嬉しいやら困ったやら、と話す数實さん。その顔には満面の笑みが浮かんでいて、お客さんとの間に垣根がないことが伝わってきた。
 「一見さんが来ることはあまりないんだよ」と典子さん。観光スポットから少し離れた食堂だが、これを機にその扉を開いてみてはいかがだろうか。きっと穏やかな笑顔と心に沁みる美味しさで私たちを出迎えてくれることだろう。

文/秋田大学 菅原

Information

たかはし食堂
〒014-0367 秋田県仙北市角館町勝楽132-2
☎0185-23-2624
■定休日:日曜日
■営業時間:11:30~14:00

Access Map

角館駅から徒歩13分。
安らげる店内、親しみやすい店主。地元に根付き、地元の人にこそ愛される食堂です。一枚、一枚、丁寧に揚げられたサックサクのカツを玉子でふんわり包んだたかはし食堂のカツ丼はやみつきになること間違い無し!口に頬張れば、衣に染み込んだ出汁とカツの肉汁が口内に広がり、箸を持つ手が止まらなくなるでしょう!

提供元:秋田の魅力発信サイト あきじん

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